以前の仕事でかかわりのあった。。。

沖縄在住男性ら全員救助 フェリー「ありあけ」事故(沖縄タイムス 2009年11月13日)

http://www.okinawatimes.co.jp/news/2009-11-13-K_001.html

13日午前5時20分ごろ、三重県熊野市沖の熊野灘を航行中のフェリー「ありあけ」(乗客乗員28人、7910トン)から「船体が傾いているので救助をお願いします」と海上保安庁に通報があった。
 第4管区海上保安本部(名古屋)は沈没の恐れがあるとして、ヘリコプターと巡視船を派遣。午前10時すぎまでに、乗客7人、乗員21人全員を救助した。
 マルエーフェリーによると、乗客には沖縄在住の男性1人=(51)=が含まれている。けがなどの報告はないという。
 フェリーを運航するマルエーフェリー(鹿児島県奄美市)などによると、横波による荷崩れが原因で、船体が傾いた可能性がある。乗員から同社に「横波を受けた」と連絡があった。
 4管本部などによると、フェリーは船体が右に約40度傾斜し、積み荷のトラックなどが荷崩れを起こした。エンジンは動くが、自力で港に戻れない状態。貨物約1420トンのほかトレーラーや重機など計78台を積み、総積載量は約3200トン。
 熊野市消防本部によると、救助された乗客の男性(70)が額やひざを打撲し「気分が悪い」と訴え、病院に運ばれた。軽傷とみられ、命に別条はない。
 ありあけは1995年製。12日午後5時に東京を出港、鹿児島・志布志港などを経由して14日午後9時に那覇新港に到着する予定だった。乗客は神奈川、鹿児島、沖縄などの男性6人、女性1人。
 マルエーフェリーの有村和晃社長(52)は13日、鹿児島市内で記者会見し「乗客や関係者に心配をかけて申し訳ない」と謝罪した。
 津地方気象台によると、三重県南部には当時、強風波浪注意報が出ており、最大5メートルの高波を予測していた。

マルエーフェリーは旧「大島運輸」http://www.aline-ferry.com/top.html
以前にいた職場でこの「ありあけ」の東京港での荷役を受託していて、自分自身は直接の担当ではなかったが、荷役担当者がいつも船内の積荷のバランスなどを考えて、積み付けを決めて、荷役計画を決めていたのを知っているだけに、今回の事故はよほどの高波での衝撃があったのではないかと。
以前の晴海汽船の所属だった「フェリーたかちほ」もよく事故*1に見舞われたが、代替わりした「ありあけ」でのこの規模の事故は初めてではないか。
船社・荷役側とも担当者は代替わりしているだろうが、どちらサイドでも業務量・収入ともかなりのウエイトを占めるものなので、この後の影響が心配される。

三重沖フェリー事故 「ありあけ」年内運休 東京−沖縄 存続か廃止か 岐路に

http://www.nishinippon.co.jp/nnp/item/135134西日本新聞 2009年11月18日 00:14)

 三重県熊野市沖で13日に船体が傾き、座礁したフェリー「ありあけ」(7910トン)を運航するマルエーフェリー(鹿児島県奄美市)は17日、ありあけが就航する東京‐沖縄航路(鹿児島県志布志市経由)を年内は運休することを明らかにした。「事故処理を優先する」として再開のめどは明言していないが、約10年前から旅客の減少が続いており、航路存続か廃止かの岐路に立たされている。
 同社によると、ありあけの船内は6層構造で事故当時はコンテナ150個、トレーラーや中古車、重機などの車両82台などを積載、さながら貨物船のようだった。一方、最大定員426人に対し乗客は7人だった。
 同社はありあけを含め船舶5隻を所有。東京航路のほか神戸‐沖縄、鹿児島‐沖縄の計3航路を運航している。このうち東京航路(1963年就航)は日本一長い航路で、毎月5−8便を運航しているが、航空券の低価格化や高速道路の整備などで業績は低迷。2004年からは定員を150人に減らしていた。
 一方で、産業航路としての需要はあり、貨物専用船への移行も検討していたという。ありあけで毎月300−500トンの飼料原料を沖縄へ運んでいた志布志市の港湾運送会社の担当者は「(運休により)陸路で鹿児島市に運び、沖縄行きのフェリーに積み替えるしかないが、費用はかさむ」と頭を抱える。
 船体から油を抜く作業が進めば船体の詳しい破損状況が判明する見通しで、マルエーフェリーの竹原伸孝専務は「運航再開の要望は多く、廃止か継続か、1カ月以内には結論を出したい」と話している。

続報
この記事に添えられた「ありあけ」の画像を見ると、乗用車で言うところの「横転」に近い状態。
「ありあけ」が就航していたのは東京〜志布志奄美〜(与論・寄航休止)〜那覇を結ぶ航路で、「ありあけ」は貨客船とは言え実質、トレーラーシャーシや商品車・コンテナを運ぶROROタイプの貨物船
旅客は夏休み期間中の沖縄旅行の学生や団体客が占めていて、通常はまず旅客は少ない。(希に乗用車と共に航走するフェリーとしてのお客さんはいた。)。マルエーフェリーには東京以外にも、大阪・鹿児島・奄美群島〜沖縄の航路を持っていて、いずれも貨物・旅客両方の輸送を受け持っている。
東京・阪神〜沖縄航路の琉球海運の貨客船「かりゆしおきなわ」や「わかなつおきなわ」もすでになく、本州〜沖縄航路から旅客輸送をなくしており、貨物輸送のみに特化している。
以前の大島運輸・琉球海運・晴海汽船は東京〜沖縄航路での共同運航をしていた時代もあったが、それも私の当時のその職場に在籍していた頃に解消されており、財政上の問題で晴海汽船が大島運輸に吸収されて、2社体制で競争していた。(そのあとに近海郵船物流サービスが琉球海運との共同運航体制をとる形で参入した模様。)
いずれの会社も経営的に厳しいもの*2があって、今回の事故で東京〜沖縄航路がどう変わるのかはもう直接関係ないとは言え非常に気になります。
そして、船社のみならずいわゆる船に貨物車両を載せていた乙仲(利用運送業者)の事故処理担当や代替輸送の手配をする営業担当は今頃皆さん大変な目に遭っているのだろうなと。。。(私自身にも似たような経験がありますので。。。)

*1:暴露甲板に積載された積荷の濡損(濡れた積荷がかびたとかもあった)から座礁・衝突まで

*2:やはり沖縄関係の航路を扱う有村産業は破産している。