秋田内陸縦貫鉄道の存続問題

先月の24日にちょっと触れたニュース(「地域公共交通の活性化及び再生に関する法律の一部を改正する法律案について」 http://d.hatena.ne.jp/ukyarapi/20080824/1219583683)の続き

内陸線存続で合意 知事と2市長、5年後に検証(読売新聞・秋田版)

http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/akita/news/20080909-OYT8T00753.htm

赤字経営が続いている秋田内陸縦貫鉄道(内陸線)の存廃問題で、寺田知事と沿線の北秋田市の岸部陞市長、仙北市の石黒直次市長が9日、県庁で協議し、2012年度まで内陸線を存続させることで合意した。同年度までの5年間の経営実績を踏まえ、存続させるかどうかを再度、判断する。合意した計画では、07年度に約44万人に低迷している乗客を12年度までに60万人に回復させ、07年度約2億6000万円の年間赤字を12年度までに1億5000万円に減らすことを目指す。今後、県議会と両市議会に理解を求める。
 協議後、寺田知事は「まず5年間でしっかりやってみる。それで、その先の存続の可能性が出てくる。(期限を区切った方が)議会に対する財政計画が具体的になる」と述べた。今後、収支改善に不可欠な乗客数の増加について県民に協力を求めていく方針だ。

 市議会内に存続について慎重意見がある仙北市の石黒市長は「市議会も存続を前提に進んでいる。新しく目標となる数値が出てきたので、議会に持ち帰って協議すれば結論がでると思う」と語り、市議会の説得に自信を見せた。
 仙北市民の内陸線の利用者が少ないとの指摘について、石黒市長は「現在、老人クラブや婦人会、保育園に働きかけて乗ってもらっており、さっぱり乗っていないとは思っていない。今後も努力したい」と話した。

 一方、北秋田市の岸部市長は「はっきりと存続を前提として進めていくことになり、うれしい」と語った。
 年間赤字額を12年度までに1億5000万円に圧縮するという目標を設定したことについて、県建設交通政策課では「目標は高い方がいい。県民の乗車に加え、車両の技術更新によるコスト削減や沿線の景気向上なども期待したい」としている。
◆沿線で協議会 国補助申請へ
 存続が決まった秋田内陸縦貫鉄道(内陸線)の安全対策工事費などの補助金を国から得るため、沿線の北秋田、仙北両市と、商工・観光団体の関係者らは9日、「秋田内陸地域公共交通連携協議会」を設立した。協議会の会長に北秋田市の岸部陞市長、副会長には仙北市の石黒直次市長が就任した。
 昨年10月に施行された「地域公共交通の活性化及び再生に関する法律」に基づいて、今年度中に「地域公共交通総合連携計画」を策定。さらに、内陸線の安全対策工事などを対象にした「鉄道事業再構築実施計画」を策定し、来年6月までに国に提出すれば、事業費の3分の1の補助が国から得られる見通し。
 来年度から事業を始め、内陸線の老朽化した橋やトンネル、線路の改修、車両の修理に補助金を充てたい考えだ。
 次回の会合で、事業内容や事業費が示される予定。
(2008年9月10日 読売新聞)

「5年間しっかりやってみる」と云うのも、なんとなく問題の先送りにも見えるけれど、地域のトップが合意した事ならば、そのまま決定という事になる訳か。
3分の1も国の財政的負担が得られるというのはうらやましい話で、個人や通常事業レベルでは通常そうは行くまい。
約20年前の転機に国鉄から各地方へ投げられた「「鉄道」という公共の足を守る」という課題が、自治体レベルの財政に大きな影響を与えてきている。インフラが大掛かりではない路線バスでさえ、その維持が難しい地方が出てきている中で、対象事業に国の負担があったり、単独の自治体の出資ではないという命綱はあるものの、今後は交通系設備の維持困難・回収できない投資過剰によって「夕張」のような自治体の倒産(地方財政再建推進特別措置法による財政再建団体となる。参考→http://allabout.co.jp/career/politicsabc/closeup/CU20070318A/)が出てくる可能性みたいなものは無いのだろうか。